ADRとRevPARの違いを一言でいえば、ADRは「売れた日の平均単価」、RevPARは「売れなかった日も含めた1日あたりの平均売上」です。民泊やリゾートヴィラの収益を見るときは、どちらか一方ではなく、稼働率とあわせて3つをセットで確認することが大切です。
この記事では、ADR・RevPARの意味と計算方法、数字を読むときの注意点を、一棟貸しのヴィラを想定してわかりやすく解説します。
ADRとRevPARの意味と計算方法
ADR・RevPARはいずれもホテル業界で広く使われている指標で、民泊や一棟貸しの宿でも収益を比べる物差しとして使われます。
ADR(平均客室単価)とは
ADRは「Average Daily Rate」の略で、販売できた客室1室(一棟貸しなら1棟)あたりの1泊の平均単価です。計算式は「宿泊売上 ÷ 販売した室数(泊数)」です。たとえば、ある月に宿泊売上が60万円、販売した泊数が20泊であれば、ADRは3万円になります(数値は説明のための仮の例です)。
RevPAR(販売可能客室あたり売上)とは
RevPARは「Revenue Per Available Room」の略で、販売できる日すべてを分母にした1日あたりの売上です。計算式は「宿泊売上 ÷ 販売可能な室数(日数)」、または「ADR × 客室稼働率」でも求められます。先ほどの例で、その月に販売可能な日が30日あった場合、RevPARは60万円÷30日=2万円です。ADR3万円×稼働率約67%でもほぼ同じ値になります。
稼働率との関係
客室稼働率は「販売した室数 ÷ 販売可能な室数」で求めます。観光庁「宿泊旅行統計調査」でも、客室稼働率は利用客室数を総客室数で割った値として公表されています。つまり、RevPARは「単価(ADR)」と「埋まり具合(稼働率)」を掛け合わせた、総合的な指標だといえます。
稼働率の考え方や統計の見方については、民泊の稼働率の平均は?宿泊統計で見る沖縄の客室稼働率と目安もあわせてご覧ください。
ADRだけ・稼働率だけで判断してはいけない理由
ADRが高いと「よく稼いでいる宿」に見えますが、単価を上げすぎて予約が入らなければ、月の売上はかえって下がります。反対に、稼働率が高くても単価を下げて埋めているだけなら、清掃やリネンなど1泊ごとにかかる費用が増え、手元に残る金額は思ったほど伸びません。
- ADRが高く稼働率が低い:単価設定が需要に合っていない可能性がある
- 稼働率が高くADRが低い:値下げで埋めている可能性があり、費用負担が重くなりやすい
- RevPARが安定している:単価と稼働のバランスが取れている目安になる
このため、運営の良し悪しを見るときは、まずRevPARで全体像をつかみ、そのうえでADRと稼働率のどちらが要因になっているかを分解して見るのが基本です。
一棟貸しヴィラでADR・RevPARを見るときの注意点
ホテル向けの指標をそのまま一棟貸しのヴィラに当てはめると、いくつか誤解しやすい点があります。
「販売可能日」の数え方で数字が変わる
オーナー自身が泊まる日、修繕や点検で休む日を分母に含めるかどうかで、稼働率やRevPARは大きく変わります。比較するときは、同じ数え方で計算されているかを必ず確認しましょう。
売上に何を含めるか
清掃料金や追加人数料金、OTA(予約サイト)の手数料を差し引く前か後かでもADRは変わります。資料の数字が「総額」なのか「手数料控除後」なのかを確かめることが大切です。
季節変動が大きいエリアでは月別に見る
沖縄のようなリゾート地は、夏休みや連休と閑散期で需要が大きく異なります。年間平均だけでなく、月別のADR・稼働率の推移を見ることで、現実的な売上の波がつかみやすくなります。
RevPARの先にある「手残り」も確認する
ADRやRevPARは売上側の指標で、費用は含まれていません。実際の収支を考えるには、運営代行手数料、清掃費、水道光熱費、修繕費、保険料、固定資産税などを差し引いた後の金額を見る必要があります。売上の指標が良くても、費用構造によって手元に残る金額は大きく変わります。
売上と費用の関係を利回りの観点から整理したい方は、表面利回りと実質利回りの違いとは?リゾートヴィラ投資で本当に見るべき数字も参考になります。
また、過去の実績や想定値は将来の結果を約束するものではありません。観光需要は景気、為替、航空便の状況、天候などの影響を受けるため、想定より下振れした場合の収支も確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. ADRとRevPAR、どちらを重視すべきですか?
A. 全体の稼ぐ力を見るならRevPAR、価格設定の妥当性を見るならADRが向いています。どちらか一方ではなく、稼働率も含めた3つを並べて見るのがおすすめです。
Q. 一棟貸しヴィラでもRevPARは使えますか?
A. 使えます。1棟を1室とみなし、「宿泊売上÷販売可能日数」で計算します。ただし、オーナー利用日などの扱いで数字が変わるため、比較時は計算条件をそろえましょう。
Q. 他の物件の数字と比べても大丈夫ですか?
A. 立地、広さ、定員、設備、季節によって単価や稼働は大きく異なります。条件の違う物件と単純に比べるのではなく、参考値の一つとして扱うのが無難です。
まとめ
ADRは販売できた日の平均単価、RevPARは販売可能日すべてを分母にした1日あたりの売上で、「ADR×稼働率」で求められます。民泊・ヴィラの収益を見るときは、RevPARで全体をつかみ、ADRと稼働率に分解して原因を探り、さらに費用を差し引いた手残りまで確認することが大切です。数字の定義や計算条件がそろっているかにも注意しましょう。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の収益や利回りを保証するものではありません。税務・法務の判断は専門家にご相談ください。