民泊を始めるときに必ず確認したいのが、「年間180日」というルールです。住宅宿泊事業法(民泊新法)では、届出をして行う民泊の営業日数に年間の上限があります。結論から言うと、180日は稼働率の目標ではなく、お客様を泊めてよい日数の上限です。収益計画の前提に組み込んでおく必要があります。
180日は何の上限か
住宅宿泊事業法は2018年6月15日に施行された法律で、家主の住まいや空き家などを使って宿泊させる「住宅宿泊事業」(いわゆる民泊)を定めています。届出住宅では、人を宿泊させる日数が年間で180日を超えないことが求められています(出典:住宅宿泊事業法、観光庁「住宅宿泊事業法の施行について」)。
ここで大事なのは、上限が「部屋が埋まる日数」ではないことです。予約が立て込む夏休みや連休でも、年度の上限に達すれば新しく泊めることはできません。反対に、稼働率が低い年でも上限が増えることはありません。つまり、日数の上限は年間の売上の天井を決める要素のひとつになります。
ただし、年間180日を超えなければ自由に営業できるというわけではありません。営業する地域のルールや、届出の内容との整合も必要です。
数え方の基本と、迷いやすい場面
一般に、日数は4月1日から翌年3月31日までの年度で数えるとされています。1月から12月の暦年で考えると、年度の途中で上限を超えてしまう場合があるため注意してください。
数え方は、人を宿泊させた日を1日ずつ積み上げる考え方が基本です。たとえば2泊のご予約なら、泊まった夜の数に応じて日数が積み上がるイメージです。具体的な扱いは、観光庁の公表資料と届出先の自治体で確認してください。迷いやすいのは次のような場面です。
- チェックイン日とチェックアウト日をまたぐ予約をどう記録するか
- キャンセルや日程変更の後に、台帳と予約サイトの表示がずれていないか
- 清掃や点検で部屋を空けた日を、営業しない日として区別しているか
- 家主本人が利用した日を、宿泊させた日に含めていないか
こうした記録は、担当者が変わっても誰が見ても同じ数字になるように、台帳の形式を決めておくと安心です。手作業の管理は数え違いが起きやすいため、予約管理システムの機能で累計を出す方法もあります。
超えた場合のリスクと、自治体条例による短縮
年間の上限を超えて宿泊させた場合、行政からの指導や、業務の停止などの処分の対象になるおそれがあります。営業を途中で止めることになれば、予約のキャンセル対応が必要になり、お客様やOTAとの信頼にも響きます。
180日は法律上の全国共通の上限ですが、自治体は条例によって営業できる日数をさらに短く定めることができる仕組みになっています。実際に短い日数を定めている自治体もあるため、「全国一律で180日だから大丈夫」とは言い切れません。恩納村を含む沖縄県内でどのような取り扱いになるかは、沖縄県や恩納村の担当窓口に必ず確認してください。営業できる地域かどうかは、民泊の用途地域とは?旅館業と民泊新法で営業できる地域と確認方法もあわせてご覧ください。
180日の対象ではない「旅館業」という選択肢
民泊新法の届出とは別に、旅館業法にもとづく許可を取って宿泊施設を営業する方法があります。旅館業の許可を取る場合は、民泊新法の年間180日の上限の対象にはなりませんが、用途地域や建築基準、消防などの要件を満たす必要があり、手続きの内容も異なります。どの方法が合うかは物件の状態と計画によって変わるため、ここでは一般論として比べるにとどめます。
収益計画に日数の上限を入れるには
収益シミュレーションでは、稼働率と客室単価に目が向きがちです。しかし、年間の営業日数が上限で決まるなら、月ごとの予約を積み上げる前に「年間で使える日数」を先に置く必要があります。日数の上限を超えないように、閑散期の日を計画的に使うといった見直しも考えられます。
ただし、どの時期を営業日に充てるかは、予約の入り方や費用とのバランスで決まります。考え方の順番は次のとおりです。
- 年度の上限(180日)と、自治体の条例による日数を確認する
- 営業日数を前提にして、月ごとの想定稼働を置く
- 日数の累計を、予約と台帳の両方で毎月確認する
よくある質問
Q. 180日を超えなければ、どの季節に営業してもよいのですか?
年度の累計が180日以内であれば、どの季節に営業日を振り分けるかは上限の中で判断できます。ただし、自治体の条例による短縮、用途地域の確認、届出の内容との整合など、ほかの条件も満たす必要があります。判断に迷う場合は届出先の自治体に相談してください。
Q. 営業日数の手続きや届出は、どこで確認すればいいですか?
制度の一般的な内容は観光庁の案内で確認できますが、個別の判断は届出先の自治体の窓口が行います。届出の流れや必要書類は民泊新法の届出手続きとは?必要書類と流れ・注意点を解説にまとめています。
Q. 運営代行に任せれば、日数の管理は不要ですか?
運営を任せても、制度上の責任がなくなるわけではありません。家主不在型の民泊では住宅宿泊管理業者への委託が必要になるなど、契約内容によって役割分担が変わります。委託先が日数をどう管理し、どのように報告するのかは、契約書で必ず確認してください。
まとめ
民泊の年間180日ルールは、お客様を泊めてよい日数の上限です。年度単位で数え、予約と台帳をそろえ、自治体の条例も確認したうえで収益計画に組み込むことが大切です。税金や法律の判断は一般論にとどまるため、行政書士や税理士、自治体窓口にご相談ください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の収益や利回りを保証するものではありません。税務・法務の判断は専門家にご相談ください。